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蒙古(もうこ)ひだって何? – 美容整形・美容外科のヴェリテクリニック【公式】 東京・名古屋・大阪

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蒙古(もうこ)ひだって何?

蒙古ひだ目頭切開

目頭切開と言う手術があります。簡単に言うと、蒙古もうこひだと呼ばれる目頭部分の皮膚を切開する手術です。

蒙古ひだを切ることで眼が大きく見える、離れて見える眼が近づく、二重のラインが平行型になりやすくなるなどのメリットがあります。

ところで蒙古ひだってなに?

蒙古ひだというのは、形態人類学的にモンゴロイドと呼ばれる人種に特徴的な形状と言われています。実際にネグロイド(黒人系)やコーカソイド(白人系)には見られません。

ちなみに私の持っている眼科学の教科書には蒙古ひだという言葉は載っていません。代わりに内眼角贅皮(epicanthus)という言葉でこの蒙古ひだの事を説明しています。ただし600ページ以上ある本の内容としてはあまりにもそっけなく、たった2行程度で「上眼瞼よりの皮膚の襞が内側に向かうために、内眼角部や涙球が覆い隠される状態。(眼科学 メディカル葵出版)」と説明されているだけです。それ以外ではDown症候群や胎児期アルコール症候群といった先天性疾患の身体的特徴として多少触れられています。

こういった疾患では通常より極端に発達した蒙古ひだが特徴です。実際、眼科学的に内眼角贅皮というと、こういった疾患に伴う特殊な蒙古ひだを示すことが多く、そのため蒙古ひだ=内眼角贅皮と言いきってしまって良いのか多少疑問が残ります。

いずれにせよ眼科学の教科書でほとんど触れられていない所からも、機能的にはあまり意味のない器官のようです。

一説には北方モンゴロイドが寒さから眼を守るために発達したであるとか、砂漠の砂から眼を守るために発達したと言われているので、機能的に全く無意味という事は無いのかもしれません。でも、白人や黒人の方々が蒙古ひだが無くて困ったという事は聞かないので、少なくとも目頭切開をして機能的に何か弊害があることは無さそうです。

目頭部分の解剖

目頭部分の解剖

この部分(眼の内側)を解剖学的には内眼角部と呼びますが、ここには涙丘というピンク色をした膨らみがあり、その外側には余った涙を一旦貯める涙湖という器官があります。白人や黒人ではこういった器官が露出していますが、蒙古ひだのある方はこれらが全体もしくは部分的に隠れています。

最初にもお話ししましたが、目頭切開は蒙古ひだを切開することで目頭の隠れている部分=内眼角部を出す手術です。

目頭部分の解剖

つまりゼロから新しく目頭の形を作り出す訳ではありません。あくまで内眼角部の今まで隠れていた部分が見えるようになった結果として、目頭の形が変わります。

手術の際に「下方に尖った目頭にしたい。」とか、「内側に大きく開いた目頭にしたい。」など希望をおっしゃる方は多いのですが、あくまで手術で出来るのは、その方の隠れている内眼角を露出させることだけです。

つまり、その方の元々の内眼角部の形以上に下げたり大きく広げる事はできません。無理に引っ張ることで多少さらに形は変わるかもしれませんが、かなり不自然な状態になってしまいますのでお勧めできません。

ただし、この蒙古襞の切除の仕方、つまり隠れている内眼角をどんな形に露出させるかを工夫する事で、ある程度であれば術後の目頭の形態をコントロールすることは可能です。

蒙古襞の無い白人や黒人の内眼角(目頭)の形にも多様性があるように、蒙古襞に隠された東洋人の内眼角にもさまざまな形態があります。

同じように蒙古襞を切ったつもりでも思った以上に目頭が開きすぎてしまったり、逆にさほど変化が無かったりする事もあるので、術前のカウンセリングでどの程度変わるのか(変わりたいか)、どういった形にしたいかなどドクターと充分相談した上で手術に臨んでいただければと思います。

目頭切開の術式

目頭切開の術式は、大きく分けると2つの方法になります。

  1. 皮膚を切除して目頭を開く方法
  2. 皮膚をずらす(入れ替える)ことで目頭を開く方法

皮膚を切除して目頭を開く方法

前者の代表的な術式は、内田法やIrit法などです。後者で有名なのはZ法です。特に前者にはその切除の仕方で非常に多くの術式があり、それぞれに名前が付いていますが、きりが無いのでここでは省略します。

前者の方法に共通しているのは、皮膚を切除し引き寄せて縫合するため、術後の傷にひきつれ(緊張)が起こり易い事です。そのため傷に肥厚性瘢痕が生じ目立ってしまったり、引っ張られることで傷の幅が広がると、その分後戻りしてしまいます。もちろん、なるべくひきつれが生じないように切除の仕方(形)にいろいろな工夫がされていますが、それでも全く傷に緊張がかからないようにするのは難しいと思います。

皮膚をずらす(入れ替える)ことで目頭を開く方法

Z法は字のごとくZ型に皮膚を切開してその上下(前後)の皮膚を入れ替える事で目頭を開く方法です。この術式では、入れ替えの際に皮膚の盛り上がり(ドッグイヤー)が生じた際だけその部分の皮膚を切除する事はありますが、それ以上に大きく皮膚を切除する事はありません。ですから、傷に大きな緊張がかからず非常に奇麗に傷が治ります。とうぜん後戻りもほとんどありません。それ以外にも、メリットはあります。例えば、もし蒙古ひだを元の形に戻したい時などは、最初の手術と逆に皮膚の入れ替えをすることで、完全とは言えないまでもかなりそれに近い状態に戻すことが可能です。

皮膚を大きく切除するタイプの目頭切開を行った方も、内眼角の内側の皮膚を逆Zのデザインで切開して蒙古ひだを作る事は可能ですが、最初の手術で皮膚を切除している分この部分の皮膚に余裕がありませんので、元の状態まで戻すのはかなり難しくなります。

Z形成という手技

Z形成

Z形成は瘢痕拘縮・陥凹変形などの治療によく用いられる方法で、基本的には2つの三角皮弁を入れ換えることで2点間の距離の延長を行います。切開線がZ字型になるため、このようによばれています。

この図は、Z型に切開し(オレンジのライン)、XとYという二つの三角皮弁を入れ替える事で縦軸の長さが伸びていることを現しています。これを利用して拘縮部の伸展などを行います。

この図をよく見ると、横軸は逆に短くなっている事が分かります。通常の治療で用いる場合とは逆に、目頭切開ではこの横軸が短くなる事を利用します。

つまり、蒙古ひだの横方向の長さ(幅)を短くするためにこの手技を用います。といってもこの図だけでは何の事か分かりませんよね。

蒙古ひだの解剖

蒙古ひだの解剖

蒙古ひだは内眼角部を覆う皮膚の膜です。正面から見える蒙古ひだの裏側はどうなっているかといえば、ここにも皮膚があります。

つまり蒙古ひだは表裏二枚の皮膚で出来ています。これが涙丘の上で浮いている状態といえばなんとなく分かって頂けるでしょうか。この特殊な形態のために、目頭切開のZ法が理解しづらくなっています。

ではここで、実際の目頭切開のデザインを見てみましょう。

目頭切開のデザイン

むらさき色に引いたラインが切開線です(写真左)。するどい方は気付かれたと思いますが、Z法なのにZの形じゃないですね。どちらかと言えばV型です。実は先ほどお話した蒙古ひだの裏側部分に、切開線の続きが隠れています。

この部分が表に出るよう指で蒙古ひだを内側に引っ張ってみましょう(写真右)。すると、もう一本の線が出てきて、切開線のデザインがZ型になりましたね。このデザインに沿って切開を加えたのち、Z形成の要領で三角皮弁の入れ替えを行います。

できるかな?

上で説明した入れ替えで目頭が開く部分というのが分かりにくいと思いますので、ここからはイラストと折り紙を使ってこの手術を体験してみましょう。

蒙古ひだの解剖

まず、折り紙を一枚用意したら、端から1/4位の位置で縦に折ります。

この折った部分の表裏がそのまま蒙古ひだの表裏になります。

蒙古ひだの解剖

次に白紙の紙に大きめに眼のイラストを描いたものを用意します。

このとき蒙古ひだの無い眼、つまり内眼角部がしっかり見えている状態に描きます。

蒙古ひだの解剖

先ほど用意した二つ折りの折り紙で、このイラストの内眼角部を覆うと蒙古ひだのある目頭の完成です。

とてもシンプルですね。この折り紙を蒙古ひだであると思ってください。

蒙古ひだの解剖

この折り紙に写真のように線を引き、これに沿ってハサミでカットします。これがZ法の切開になります。

といってもこのデザインではZ型になっていませんね。どちらかと言えばV型です。

でも大丈夫です。先ほどお見せした実際のオペのデザインと一緒で、Zの一辺が裏側に隠れています。

蒙古ひだの解剖

一旦、折った部分を戻してみましょう。ハサミでカットしたラインがZ型になっていますね。

通常の平面でのZ形成と違って、蒙古ひだのZ法は立体的なデザインであるため、奇麗なZではなくやや変形したZですが、それでも角が二つあるという意味ではZ型と表現して良いと思います。

蒙古ひだの解剖 蒙古ひだの解剖

これを再度元の折った状態に戻し、Vの角を支点に下向きの三角が横に向くように折り込みます。

鶴を折る時にも同じような工程がありましたね。この作業がZ法の皮弁の入れ替えになります。

蒙古ひだの解剖

一見一つの皮弁しか移動していないように見えますが、折り紙を広げた状態で考えると二つの三角弁の入れ替えになっています。

蒙古ひだの解剖

では、これを先ほどの眼のイラストと合体させて、この入れ替え作業を行ってみましょう。如何ですか。今まで隠れていた内眼角が出てきましたね。

三角弁の上の方に皮膚(紙)が余っていますが、実際の手術でもこの部分にすこし皮膚が余る(ドッグイヤーと言います)ので、これを切除します。紙と違って皮膚には柔軟性があるので、実際に余る皮膚はほんのわずかです。

この治療の大きなポイントは、蒙古ひだが無くなっているにもかかわらず、余った少量の皮膚の切除以外に一切皮膚を切り取っていない事です。という事は、従来の方法と違って切除による緊張が傷にかかりません。そのため、非常に奇麗に傷が治りますし、後戻りもほとんどおこりません。

さらに、もし蒙古ひだを元の形に戻したい時は、同じ傷を切開して最初の手術と逆の手順で元の位置に戻るよう皮膚の入れ替えを行うだけです。ドッグイヤーを切除しているので、完全とは言えないまでもかなり元に近い状態に戻すことが可能です。皮膚を大きく切除している場合にはこういう訳にはいきません。

Z法のデメリット

こうお話しすると、Z法が他の方法に比べすべての面で優れているように見えますが、欠点もあります。

皮膚を切除するタイプの目頭切開は、まず控えめのデザインで始めてみて、足りなければさらに皮膚を追加切除していくことで微調整ができます。つまり、少しずつ形を調整していく事が出来ます。ということは、あまり経験の無いドクターが行ってもそれほど大きなミスにはなりません。

それに比べZ法のデザインは一発勝負なので、どういうデザインをすれば最終的にどんな目頭になるのかしっかり把握した上で手術を行う必要があります。特にこの手術は通常のZ形成と違いやや変則的なZ形成となるので、こればかりは多少の経験が必要です。このデザインさえきっちりできれば、個人的にはZ法はもっとも合理的な目頭切開の術式であると思います。

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