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重瞼術~第4章 : 上まぶたの脱脂術
一般的に行われている上まぶたの脱脂術というのは眼窩脂肪と呼ばれるまぶたの比較的奥にある脂肪を取り除く手術です。
そのためには少なくとも3㎜ほどの切開が必要です。残念ながら、脂肪吸引のように針で脂肪を吸い出すことはできません。
普通は二重を作る手術に併せて脱脂術を行いますが、すでに二重のある方には脱脂術を単独で行うこともあります。
重瞼術~第4章 : 上まぶたの脱脂術 目次
脱脂術に必要な皮膚の切開
上まぶたの脱脂術を単独で行う時や埋没法による重瞼術と併せて脱脂術を行う時には、重瞼線に沿ってまぶたの内側と外側の2ヶ所で皮膚を3㎜切開します。
そこから、眼窩脂肪と呼ばれる脂肪を引っ張り出して、取り除きます。
この眼窩脂肪という脂肪はまぶたの隔膜と呼ばれる固い膜より奥にあります。
まぶたの皮膚を10㎜ほど切開して二重を作る小切開法でも、眼窩脂肪を切除します。また、まぶたの皮膚を目頭から目尻まで切開する全切開法でも、通常行われている方法ではこの眼窩脂肪だけを切り取っています。全切開で通常切除されるのが眼窩脂肪だけです、とわざわざ書いたのは他にも切除する脂肪があるからです。それについてはあとで説明します。
眼窩脂肪を切り取る脱脂術の影響
眼窩脂肪を切除すると目を閉じている時にみられる上まぶたの膨らみが小さくなります。
また、目を開いた時の二重の外側にできる小さな膨らみが小さくなります。また、眼窩脂肪を取り除くと、手術で作った二重が消えにくくなります。
眼窩脂肪が下の方まで降りてきていると、埋没法の糸が脂肪と絡んでしまいます。
脱脂術をすると埋没法の糸が脂肪を挟まなくなります。
上まぶたの浅いところにある脂肪
上まぶたには眼窩脂肪の他に、まぶたの皮膚に張り付いた脂肪があります。専門用語では、この脂肪を隔膜前脂肪とかROOFと呼びます。
上まぶたの組織を表面から奥へ順に言いますと、まず皮膚組織があり、その下にはまぶたを閉じる働きをする眼輪筋という筋肉があります。
この筋肉の下に隔膜前脂肪やROOFがあります。さらに奥には、眼窩隔膜という硬い膜があり、その奥に眼窩脂肪があります。
眼窩脂肪の奥にはまぶたを持ち上げる働きをする眼瞼挙筋とその腱膜があり、その下が結膜です。
このまぶたの比較的浅いところにある脂肪は眼輪筋の下面にありますので、ROOF(日本語に訳すと後眼輪筋脂肪)あるいは隔膜前脂肪と呼ばれますが、ここではわかりやすく皮下脂肪と呼んでおきます。
厚ぼったいまぶたの治療
上まぶたが厚ぼったく見えるのは奥にある眼窩脂肪が原因のこともありますが、むしろ浅いところにある皮下脂肪が原因となっていることがたくさんあります。
こちらの症例は全切開術で二重を広くし、併せて眼窩脂肪を切り取りました。しかし、術後のまぶたはかえって厚ぼったくなっています。
これは、まぶたの皮下脂肪が原因です。生きた人のまぶたの断面を画像診断で調べた結果、目を開いた時にまぶたの皮下脂肪がおりたたまれて厚くなることが分かりました。
目を閉じている状態では、皮下脂肪は引き延ばされていますので薄くなります。
目を開いた時にまぶたの皮下脂肪がおりたたまれて厚くなる。
ちょうど、イラストの赤い点線で囲まれた部分が厚ぼったいまぶたの原因です。
奥にある眼窩脂肪が原因となっているのは黄色で示した範囲です。
一方、皮下脂肪のうち隔膜前部はピンクの範囲、ROOFはオレンジの範囲に相当します。
従って、厚ぼったいまぶたをスッキリさせるには、通常行われている眼窩脂肪を切り取る手術だけではなく、皮下脂肪も切り取らなければなりません。眼窩脂肪は卵の黄身のように軟らかいため、小さな穴から引っ張り出して取り除くことができます。
しかし、皮下脂肪は比較的硬くて周りの組織に張り付いていますので、引っ張り出すことはできません。直接見ながら筋肉や隔膜から剥がして取る必要があります。それには、どうしても全切開や上眼瞼リフトのような長い皮膚切開が必要になります。
ヴェリテクリニックの上まぶた脱脂術
厚ぼったいまぶたをすっきりさせるために、ヴェリテクリニックでは全切開法で二重を作りながら、皮下脂肪と眼窩脂肪を切り取る手術を行っています。
眉骨のところがふくらんでいる方には骨の上に乗っかっている皮下脂肪(ROOF)も切除しています。
第5章は「二重の幅とかたち」です。
二重まぶたの手術を希望される患者様はひとりひとりどのような目になりたいかというこだわりをもっていらっしゃいます。