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額美人を目指すには? PART2~額形成の目的と材料 – 美容整形・美容外科のヴェリテクリニック【公式】 東京・名古屋・大阪

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額美人を目指すには? PART2~額形成の目的と材料

名古屋院 李 院長 プロフィールはこちら

額を作る材料

今回は、額を作る材料についてお話してみたいと思います。

額を作る素材としては、

  1. ヒアルロン酸、レディエッセなどのフィラー(注入剤)
  2. 脂肪
  3. シリコン
  4. ゴアテックス
  5. 骨セメント(ポリメタクリル酸メチル)
  6. ハイドロキシアパタイト

があります。

ヒアルロン酸、レディエッセなどのフィラー(注入剤)

脂肪

1のフィラーと2の脂肪は注射で注入して額を膨らませる治療です。手軽な治療ですが、面としてふっくらとした立体感を出すには限界があります。

それに、額は元々皮下脂肪や筋肉の層が薄くすぐ骨になる場所なので、柔らかい素材であまり厚みをつけすぎると、触った感じも不自然です。

ですから、こういった素材は軽度の段差を埋めてたり、額の中心にちょっとした丸みをつける程度の治療に向いています。

シリコン

3のシリコンは、隆鼻術や顎の形成術では良く使用される素材で、額にも以前は良く使用されていました。

手術方法は、頭皮内を数センチ切開し、そこから額の骨膜下にスペースを作ってシリコンプロテーゼを入れるというシンプルなものです。

局所麻酔でも可能で、プロテーゼも既成のものがあり、傷も小さく目立たないので意外と手軽な手術ですが、最近は行っていません。

理由としては、時間が経ってくると周囲にカプセルを作り、これによってシリコンの辺縁がくっきりし目立ってくることが挙げられます。それ以外にも、額が丸くなりすぎてデコッパチに見えやすいという事があります。

前回お話ししたように、美しい額には前頭結節の適度なふくらみが左右にあり、これによって額の中ほどに適度な広さのふっくらとした面ができます。この適度な広さがシリコンでは表現しにくく、真ん中が突出して見えやすくなりがちです。

ゴアテックス

4のゴアテックスは、最近鼻の手術でシリコンの代わりに使う事が増えてきている素材です。

この素材は、布のように非常に軟らかい上に人体との親和性に優れているため、医療用としては、美容外科はもちろんのこと、人工血管や心臓のパッチや脳を包む硬膜の修復に用いられています。

シリコンと違いカプセルを作らないため、将来的に辺縁が際立つ心配がほとんどありません。

ただし、柔らかくあまり厚みのない素材ですので、西洋人顔手術のような広い範囲で立体的な額を作る治療には向いていません。

切開は、シリコンのように頭皮内を切開する場合もありますが、素材が軟らかいので眉に沿った小さな切開でも挿入可能です。

骨セメント

ハイドロキシアパタイト

5の骨セメントと6のハイドロキシアパタイトは共にペースト状の状態から徐々に硬化し硬くなる素材です。固まってしまうと骨と同等の硬さになるため、額の骨に近い素材と言えます。

骨セメントはPMMA(ポリメタクリル酸メチル)とよばれるアクリル樹脂です。主に整形外科領域で、人工股関節の固定などに用いられてきました。最近では、脊椎の圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術の材料として用いられることが多くなっています。

半世紀ほどの歴史のある信頼性がある素材ですが、整形外科でそういった手術に用いられた場合、骨髄に付着すると一時的な血圧低下やショックなどの合併症が起こる可能性があります。ただし、額形成では骨髄が露出する事がなく、そのため骨セメントと骨髄が接触する可能性がほとんどないためまず大丈夫であると考えています。(もちろん、不測の事態に対処できる万全の態勢を整えて手術には望んでいます。)

骨セメントの欠点は硬化する際の発熱です。建設材料であるセメントも固まる時には発熱しますが、それと同様にこの骨セメントも粉末と溶解液を混ぜてペースト状にしたものが固まっていく過程で発熱します。

そのため、頭皮を大きく剥離して額の骨を露出させた上でないと皮膚が火傷を起こしてしまいます。この頭皮を大きく剥離する手術のためには、頭頂部の近くで頭皮を冠状に大きく切開する必要があり、手術がかなり大がかりなものになってしまいます。この発熱は数分で収まりますが、その間は氷水などで冷やして周囲に熱が及ばないように注意する必要があります。

確かに手術自体は多少大がかりと言わざる負えませんが、術後については腫れもそれほどなく、傷も後ろにあるため目立ちにくく、拍子抜けするくらいスムーズです。

ハイドロキシアパタイト(HAP)は、リン酸カルシウムからできています。リン酸カルシウムは脊椎動物の歯や骨を構成する主成分であり、そのためこのハイドロキシアパタイトの人工骨は本物の骨に近いといえます。そのため生体になじみやすく、異常反応の心配もありません。

骨セメントと違い硬化の際に発熱しないため、小さい切開創から額の骨膜下を剥離し、できた空間に流し込むような使い方ができます。ただしこの方法は、流し込んだハイドロキシアパタイトが硬化するまでの間、皮膚の外から押しながら形を作ってく必要があります。これが非常に難しく、油断すると額に凸凹や波打ちが出来てしまいます。もちろんこれは細心の注意を払って行う事である程度避けられますが、大きな面になる程、均一でなだらかな額の面を作るのが困難になってきます。それに基本的に一発勝負であり、一旦固まってしまうと修正が非常に難しくなります。

そのため額全体の大きな形成には向かず、額の中心をふっくらとさせるような中程度の額形成に向いていると言えます。

もちろん、このハイドロキシアパタイトを先ほど骨セメントで説明した額の骨を大きく露出させる術式の際にも使用できます。この術式であれば、固まった後に余分な部分を少し削ったり、逆に足りないところを足したりという事が簡単にできるので、まさに彫刻の要領で額を作ることが出来ます。特に、額全体を大きく変化させる手術や眉骨から形を作らなければいけない西洋人顔手術では、この術式でないと厳しいと思います。

でも、このハイドロキシアパタイトは原価が非常に高いため、こういった大量に材料を消費しなければならない手術では、骨セメントと比べ大きな価格差が出てしまいます。例えば、額全体をふっくらさせようとすると、約20cc前後のボリュームが必要になってきますが、これを骨セメントで行った場合とハイドロキシアパタイトで行った場合では、材料の原価で40万円程差が出ます。この原価の差の分だけは追加の費用をいただかざる負えないので、その分は手術を受けられる方の負担になってしまいます。

この二つの素材は、硬さや耐久性などに差は無く、皮膚で覆われてしまえば見た目の差もありません。

という事は、その差は額の中にプラスチックの一種であるアクリル樹脂ではなく、骨とほぼ同じ成分であるリン酸カルシウムの塊が入ってるという満足度くらいかもしれません。

額形成の目的と材料

前回は額形成についてお話してきましたが、ここでそれぞれの術式と使用する材料の関係について少し整理してみましょう。

額形成の目的

額形成の目的は、その程度によって大きく分けると

  1. 額の段差、凸凹をなくす (SMALL)
  2. ふっくらと丸みのある額を作る (MEDIUM)
  3. 西洋人的な彫の深い顔を作る (LARGE)

の3つがあります。

額形成の目的と材料

それぞれ目的に対してどんな材料を用いた治療が一番合っているのかを分かりやすくするために、表を作ってみました。

ちなみに目的と治療内容のバランスが良いものを◎、適応はあるがそのために必要な手術が大きすぎてバランスがやや悪いものを〇、さらにバランスや治療結果が悪いものを△、適応が無いと考えられるものを☓としました。

この表に少し説明を加えると、例えば、骨セメントを用いた手術を行うためには頭頂部の近くで頭皮を冠状に大きく切開する必要があるため、西洋人顔手術のような大きな額形成には向いていますが、額の中心に丸みをもたせるだけの治療には適応はあってもやや大きすぎてバランスが悪く、ましてやちょっとした段差を埋めるだけの治療に対してとなると他の治療を選択すべきということです。

もし額の治療を考えていらっしゃる方は参考にしてください。