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鼻中隔延長術2017情報 – 美容整形・美容外科のヴェリテクリニック【公式】 東京・名古屋・大阪

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鼻中隔延長術2017情報

1.鼻中隔延長術の術後のトラブル

私の隣でワイングラスを傾けている人は韓国のチョスン大学の耳鼻科のチョイ教授です。大学教授になる前は鼻の手術で有名なソウルのシミアンクリニックで研修されていましたが、その時、ヴェリテクリニック銀座院に2週間勉強に来たことがあります。

このチョイ先生が鼻中隔延長術の術後に起こる問題点として

①鼻先が硬くなること

②感染

③鼻尖の高さの後戻り

④鼻尖や鼻柱の傾き・鼻孔の左右差

の4つがあると報告しています。

①鼻中隔延長術は鼻尖の軟骨を固定することになりますので、鼻先を上に押し上げて豚バナを作ったり、鼻先を下に延ばしたりすることは出来なくなります。ただし、鼻先を左右に動かすことは出来ます。鼻先が硬くなることは、鼻中隔延長術の宿命です。避けることは出来ません。

②どんな手術も術後の感染を完全に避けることは出来ません。鼻中隔延長術は複雑な手術ですので、他の手術、例えば、鼻尖縮小や鼻翼縮小や鼻尖形成に比べると感染の危険が高い手術といえます。特にたばこを吸う人は感染の危険が高くなります。もう一つ、以前に鼻尖の手術を受けたことのある患者さんは感染しやすいことがわかっています。その中でも、特に鼻中隔延長術を受けたことがある患者さんに再度鼻中隔延長を行いますと、感染の危険は高くなります。

感染が起こりますと、延長のために移植した軟骨は吸収されて、延長した鼻先は低く短くなります。術前よりも短くなる可能性もあります。

感染によって短くなってしまった鼻は再度延長手術をしても皮膚や粘膜が萎縮しているため、希望する長さにできない可能性が高くなります。最終的な結果として、術前より短い・低い鼻先になってしまうというリスクがあります。このようなリスクがあることを理解した上で延長手術を受けるかどうか判断していただきたいと思います。

③術後の後戻りは移植した軟骨が吸収されたり、曲がったりするために起こります。伸ばす量が多いケース、鼻先の皮膚が硬いケース、移植した軟骨が薄くて弱いケースでは後戻りが起こりやすくなります。

以上の3つの問題は術中に工夫をしたからといって、避けることができるものではありません。

それに対して、④鼻尖や鼻柱の傾きや鼻孔の左右差というのは術中に注意を払うことによってある程度避けることができます。

2.鼻尖や鼻柱の傾き・鼻孔の左右差

匠の技「鼻中隔延長術 上級編」で私が鼻中隔延長術を行った患者さんのその後の鼻先のゆがみを調査した結果を報告しました。この調査は私が2008年から2010年に手術をした患者さんを調べた結果です。

その結果、耳軟骨を使用した場合に傾きやすいことがわかりました。

鼻中隔軟骨や肋軟骨を用いる場合でも、1枚の軟骨を鼻中隔の片側だけに移植するより、2枚の軟骨で鼻中隔をはさむように移植したほうが傾かないことがわかりました。

この結果をふまえて、2011年からは鼻中隔延長に耳の軟骨を使用することは一切やめました。そして、耳以外の軟骨を2枚使って延長術を行うようにしました。

2枚の軟骨を従って、鼻中隔軟骨を2枚、または鼻中隔軟骨1枚と保存軟骨1枚、あるいは肋軟骨を2枚使って鼻中隔をはさむように両側に軟骨を移植するようにしました。

2枚の軟骨を鼻中隔の両側にオーバーラップさせて移植した
・鼻中隔軟骨2枚
・鼻中隔軟骨1枚+保存軟骨1枚
・鼻中隔軟骨1枚+吸収性プレート1枚
・肋軟骨2枚

2枚の軟骨の種類ですが、

採取できた鼻中隔軟骨が大きい場合は それを半分にカットして2枚とも鼻中隔軟骨を使いました。

採取できた鼻中隔軟骨が小さい場合は 片側には鼻中隔軟骨を使用し、反対側には保存軟骨、または、吸収性プレートを使用します。

鼻中隔軟骨では大きさや強さが不十分であると判断された場合は、鼻中隔軟骨は取り出さないで、 胸から肋軟骨を取って両側に肋軟骨を移植しました。

もう一つのケースとして、採取できた鼻中隔軟骨が1cm x 1cmと非常に小さいことがあります。その場合、取り出した軟骨を鼻中隔にオーバーラップさせて固定すると延長できる長さが小さくなってしまいます。そこで、軟骨を鼻中隔の先端につぎたして固定すれば、何とか延長することができます。

しかし、軟骨の先端同士をあわせたend-to-end法では移植軟骨の固定が安定しません。そのため、両側に保存軟骨を添え木のようにあてて補強しました。


採取した鼻中隔軟骨を鼻中隔の先端に (end-to-end)移植して、両側を保存軟骨で補強

2011年から2013年の3年間は

①鼻中隔+鼻中隔

②鼻中隔+保存

③鼻中隔+吸収性プレートv

④肋軟骨+肋軟

⑤鼻中隔のend-to-end+保存2枚

という5種類の方法で延長術を行いました。

術後経過を調べた結果は

2枚の鼻中隔軟骨を鼻中隔の両サイドに移植する方法は前回の調査と同じく術後の成績は良好でした。採取できた軟骨が極めて小さかったために苦肉の策として行ったend-to-end法の術後成績は我々の予想に反し、良好でした。

オーバーラップして糸で縫合固定する方法に比べてend-to-endでは固定が弱いのか、それとも同程度の強度があるのか?この点を調べるために、ヴェリテクリニック銀座院の藤本院長が豚の軟骨をお肉屋さんから入手して、強度試験を行いました。その結果、end-to-endのほうがオーバーラップする方法より固定力が強いことが判明しました。

肋軟骨を2枚使う方法の術後成績は、前回の調査では18%、今回の調査では22%の確率で傾きを起こしました。

肋軟骨は鼻中隔軟骨に比べて大きさ・強度ともに優れているのに、鼻中隔軟骨より成績が悪かった。この原因は、肋軟骨は薄くカットすると弯曲する性質があるためです。

曲がった材料を用いれば、傾きが生じやすいのは当然の結果です。

移植する肋軟骨が長いと弯曲は強くなりますので鼻先が傾きやすくなります。

一方、まっすぐの材料を用いれば傾きは起きにくくなります。曲がった肋軟骨でも短くカットすれば、比較的まっすぐの軟骨片を作ることができます。

従って、肋軟骨を使用する場合、長い軟骨片を使って鼻中隔にオーバーラップさせるより短い軟骨片を使ってend-to-endで移植するほうがまっすぐの材料を使うことができるうえに固定力も強いので術後の傾きを防ぐことができます。

2回目の調査と豚軟骨の強度試験の結果、end-to-endで固定する方法を全例に選択することにしました。

採取できた鼻中隔軟骨が非常に大きければ3枚とも鼻中隔軟骨を用います.しかし、そこまで大きな鼻中隔軟骨を獲られることは滅多にありません。

鼻中隔軟骨が大きければ、正中end-to-endと一側の補強を鼻中隔軟骨で、もう一方には保存軟骨を用います。

鼻中隔軟骨が小さければ、正中end-to-endに鼻中隔軟骨を、両サイドの補強には保存軟骨を用います。

鼻中隔軟骨を使わない場合は、3枚とも肋軟骨を用います。

end-to-endに固定する鼻中隔延長

2015年以降の鼻中隔延長術はできる限りend-to-endで行っています。術後の傾きの発生率は以上3パターンのどの方法を使っても5~6%に収まっています。

結論

鼻尖の傾きや鼻孔の左右差を起こさないためには延長術をEnd-to-endで行うことが好ましい。

3.鼻先の傾きが発生した時の対処

匠の技「鼻中隔延長術:初級編」で説明したように、術後1週間以内、あるいは、術後4ヶ月以上経過してから修正手術を行います。

4.延長する長さや方法の誤り

チョイ先生が報告した延長術のオペ後に発生する4つのトラブルの他に匠の技「鼻中隔延長術:上級者編」で記載したように延長が足りなかったり、多すぎたり、延長方向が間違っていたりという問題が起こる危険があります。

この原因は、手術前のデザインが間違っているか、デザインは正しくても術中にデザイン通りの手術が行われていないためです。

患者さんの希望をしっかり聞き取り、コンピューターシミュレーションを使って希望する形を確認すれば間違ったデザインを避けることができます。

それよりも深刻な問題はデザインした通りの鼻ができているのかどうかオペ中に術者が判断できていないことです。というのは、患者さんは仰向けに寝ているため普段見る顔のオリエンテーションと異なります。口元は手術用の滅菌した布で覆われているし、麻酔注射や手術操作によって鼻は腫れて高くなっているため、鼻先のポジションや形を正確に判断できません。(美容外科進化論2016年12月22日2016年12月24日 投稿者: DR.FUKUTA 鼻中隔延長後の修正 参照)

5.延長する長さや方法の調整

この問題点をクリアするために、術前に作成した鼻のデザインから実寸大のテンプレートを作成し、清潔な術野に持ち込んで、手術と計画が合っているかどうか確認します。

そのためには、CTを撮影する必要があります。顔の側面画像を実寸大でプリントし、CTの側面画像も実寸大でプリントします。顔の実寸大画像を使って手術のシミュレーションをしてデザインを決定します。このデザインをCT画像に書き込みます。それから、鼻中隔延長end-to-endに固定する移植軟骨の形と大きさ・プロテーゼの厚さをデザインします。このデザインに基づいて、術前と術後の側面画像の輪郭をなぞったテンプレートを作成します。これは、術中に患者さんの顔の上にあててみて、鼻の形が計画通りにできているのかどうかを確認するのに使います。

移植軟骨のテンプレートを作成します。これは滅菌して術野に持ち込み、このテンプレートを鼻中隔軟骨の先端にend-to-endで固定して鼻中隔延長術を行ってみます。それから一度創を縫い合わせて鼻の形を確認します。この際には、術後の輪郭のテンプレートを顔の上にあててチェックします。この時の鼻の形が計画通りであれば、テンプレートにあわせて軟骨をカットします。

隆鼻や眉間のプロテーゼを挿入するケースではプロテーゼ作成用のテンプレートを作成し、オーダーメイドシリコンプロテーゼを作ります。このテンプレートはプロテーゼを計画通りの位置にずれがないように挿入する際にも役立ちます。